婚約をしたり結婚を考え始めたりしたタイミングで、初めて結納という行事を知ったという方も多いのではないでしょうか。
今回は、結納がどんなものか分からないという方のために、結納のあれこれを分かりやすく紹介します。「結納って何?」「顔合わせ食事会とは違うの?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
結納とは?
結納とは、日本独自の伝統的な婚礼の習慣です。「結納」という漢字の通り、結婚するにあたって新郎新婦だけではなく、両家が結ばれてひとつに納まるという意味を持っています。
結納では、結ばれる両家がお祝いの品を交換します。結納とは、結婚して家族となる両家の縁を結んで納めるための大切な儀式です。
さまざまなルーツを経て、結納は明治時代頃に一般家庭にも定着したと言われています。長い歴史のある結納の儀式は、仲人が両家を行き来するスタイルからホテルや料亭などで行うスタイルへと主流な形式が変わっていきました。近年では結納を行わない人や、顔合わせ食事会のみを行う人も増えてきています。
結納のスタイル
結納のスタイルは、主に3つあります。ここでは、正式結納・略式結納・顔合わせ食事会の3つの結納スタイルについて紹介します。
伝統的なものから近年増えてきているスタイルまで紹介するので、自分に合った結納の形式を探してみてください。
正式結納
正式結納は、昔から伝わる伝統的な結納スタイルです。両家の人が一度に集まるのではなく、仲人が両家を行き来することで結納を交わします。
まずは仲人が男性側の家を訪ねて、結納品を預かります。預かった結納品を、仲人が女性側の家に届けることで結納を交わすのです。
女性側の家は、仲人に男性側の家に渡す受書を預け、届けてもらいます。受書とは、結納品を受け取ったことを表す領収書のような役割のもののことです。
正式結納で男性側が用意する結納品は、関東式では以下の9品です。住んでいる地域によって、結納品は少し異なります。
- 目録
- 家内喜多留(やなぎだる)
- 末広(すえひろ)
- 友白髪(ともしらが)
- 子生婦(こんぶ)
- 寿留女(するめ)
- 勝男武士(かつおぶし)
- 金包
- 長熨斗
【目録】
結納で贈る品を箇条書きにしたもので、納品書のような役割があります。
【家内喜多留(清酒料)】
昔は本物のお酒を贈っていたものの、現在では現金を包むことが一般的です。
【末広(白い扇子)】
扇が末広がりの形をしていることから、「幸せが末永く続く」という意味が込められています。
【友白髪(白い麻糸)】
白髪に見立てた品で、「白髪になるまでの長寿」と「麻のように強い絆」という2つの意味があります。
【子生婦(昆布)】
昆布の繁殖力にちなみ、子孫繁栄を願う品です。
【寿留女(スルメ)】
噛めば噛むほど味が出るスルメにちなんで、味のある夫婦にという願いが込められています。
【勝男武士(鰹節)】
武家の非常食だったことから、武人としての命運が長く続く縁起物とされています。
【金包(結納金)】
結納金は、一般的に男性側から女性側に嫁入りの支度金として渡すお金のことを言います。着物を贈っていた時代もありますが、現代では現金を送ることがほとんどです。
【長熨斗(鮑のし)】
あわびを叩いて伸ばしたものを乾燥させた保存食のことです。あわびが長生きする貝であることから、不老長寿の願いが込められています。
略式結納
略式結納は、現代で行われる結納スタイルの主流です。正式結納とは違って、仲人が両家を行き来することがありません。仲人は、立てる場合と立てない場合のどちらもあります。
略式結納では、両家が一度にホテルや料亭に集まって結納を行います。また、正式結納では9品の結納品を贈りますが、略式結納では7品〜5品に減らすことが可能です。結納品は男性側が用意し、女性側は受書だけを用意することが一般的です。
顔合わせ食事会
近年では、結納品の用意や仲人を立てることなく、両家が集まって顔合わせ食事会だけをする人も増えています。結納品は用意せず、顔合わせ食事会を結納の儀式の代わりとします。
顔合わせ食事会は、ホテルのレストランや料亭で行われることが多いです。両家が顔を合わせて食事をし記念品やお土産を交換する程度で、結納品や結納金の受け渡しは行いません。
食事会を行うだけで結納品や結納金の準備が必要ないため、両家とも負担が少なく済むことが特徴です。金銭的にも準備にかかる労力の面でも負担を減らすことができるので、顔合わせ食事会を結納の代わりに行う人が増えてきています。
結納の準備
結納を行うことを決めたら、さまざまな準備が必要です。結納を行うことを決めたものの、何をすればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
余裕を持って事前に行わなければいけない準備も多くあるため、参考にしてみてください。
結納の日取りを決める
結納を行うことを決めたら、まずは日取りを決めましょう。結婚式の半年ほど前に結納を行うのが一般的です。結婚式の準備もさまざまあるので、結婚式の日にちまでには余裕を持つことをおすすめします。
結納の日取りを決める際は、基本的にお日柄のいい日を選びます。大安・友引・先勝の中から選ぶといいでしょう。先勝を選んだ場合は、午後2時〜6時の間は凶とされているため注意が必要です。
結納に出席する両家全員の予定を合わせる必要があるので、できるだけ早く都合や希望を聞きながら日取りを決めましょう。お日柄のいい日を調べて、いくつか提案すると丁寧です。
結納の場所を決める
正式結納の場合は仲人が両家を行き来することになりますが、略式結納や顔合わせ食事会を結納の代わりとする場合では、結納を行う場所を決める必要があります。両家の実家が近い場合は地元で開催することができますが、実家が離れている場合は行う地域も悩みの種です。
両家の実家が離れている場合は、両家の中間か新郎新婦が現在住んでいる場所で行うことが一般的です。中間地点を探す場合は、距離はもちろん交通アクセスの良さも考慮しながら決めましょう。
結納を行う地域が決まったら、お店選びをします。ホテルや料亭で行うことが主流で、個室や結納のプランがあるお店を選ぶことがおすすめです。遠方からの参加者がいる場合は、結納をホテルで行えばそのまま宿泊できることが魅力です。
結納品を準備する
結納品の準備は、結納当日までに終えておく必要があります。結納の日取りが決まったら、余裕を持って準備を始めるといいでしょう。
結納品は、正式結納を行う場合は9品、略式結納では5品もしくは7品準備します。結納品の内容は地域によっても異なるものなので、両家の実家の地域が違う場合は事前に話し合っておくようにしましょう。両家の親の意向も聞いておくと丁寧です。
結納金を準備する
男性側は、結納金として大きなお金が必要となります。金額に決まりはないのですが、50〜100万円が主流です。結納の日までに計画的に準備しておくようにしましょう。
結納金に明確な決まりはないので、収入や貯金などに応じて無理のない金額を用意してください。親のサポートを受けて結納金を準備する場合もあります。
また結納を行う際は、結納金の他にも結納品の準備、会場代や食事代などにお金が必要です。参加する両家の人数によっては会場代や食事代も高額になることがあります。
結納にかかる費用の分担は、明確には決まっていません。両家で話し合って決めることをおすすめします。結納にかかるすべての費用を含めて、結納の日までにしっかりと準備しておきましょう。
結納にかかる費用はどのくらい?
結納にかかる費用は、正式結納や略式結納、顔合わせ食事会を結納の代わりにするなど、行う結納の形式によって変わってきます。また、大きな金額を占める結納金には特に決まりがないため、結納金をいくら用意するかによって結納にかかる費用は大きく変化するでしょう。結納金としては、キリのいい100万円を用意する方が多い傾向があります。
結納をホテルや料亭などで行う場合、食事にかかる費用は平均で1人当たり1〜2万円程度です。結納や顔合わせに参加する両家の人数にもよりますが、結納の場所と食事にかかる費用は10〜15万円程度が多いです。ホテルや料亭によっては、食事代以外に会場費や個室料、サービス料などがかかることもあります。
結納品は地域や結納の形式によっても内容が変わってきます。正式結納で9品目用意した場合は約10万円、5品目の場合は約5万円が相場です。しかし結納品にもさまざまな種類があり、素材にこだわった高級品では総額50万円を超えることもあります。
結納金や結納品は男性側が準備することが一般的です。そのため、結納金や結納品を受け取った女性側は結納返しを行うことがほとんどです。結納返しは、現金の場合もあれば品物を贈る場合もあります。
結納返しの金額は、結納にかかる費用分担や受け取った結納金の金額、地域の文化によっても変わります。関東では受け取った結納金の半返しを基本に結納返しを行うことが多いです。関西ではお返しは1割、またはなしとする人もいます。
どちらかの実家が遠方だった場合、交通費や宿泊費が発生する場合もあります。このような費用はどちらが負担するかの明確な決まりはありません。親が負担する場合もあれば、新郎新婦が負担するケースもあります。
各家庭の状況も踏まえて、全員が納得する形で費用分担ができるように事前に確認しておくことが大切です。自分たちの意見はもちろん、両家の親の考えも聞きながら費用分担を決めていくことで、余計なトラブルを防ぐことができるでしょう。
まとめ
結納とは、結婚する2人だけではなく両家が結ばれてひとつに納まるという意味のある、日本の伝統的な婚礼の習慣です。お祝いの品や結婚のための支度金をやり取りすることで、正式に縁を結んで納めます。
最近では伝統的な正式結納ではなく略式結納や顔合わせ食事会で済ませる方が多くなっています。それぞれのスタイルの特徴やかかる費用も検討した上で、どのような結納を行うか決めてみてください。