「婚約・結婚・入籍」とそれぞれの言葉はよく耳にしていても、実際にそれぞれの持つ意味や手続きについては詳しく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、「婚約・結婚・入籍」の違いについて詳しく解説します。違いが気になる方から手続きの方法に悩んでいる方まで、参考にしてみてくださいね。
「婚約・結婚・入籍」の違い
「婚約・結婚・入籍」はそれぞれよく耳にする言葉ですが、どんな意味があり何が違うのかわからないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、それぞれの意味と違いについて解説します。プロポーズや結婚を控えている方は、確認しておきましょう。
婚約とは
婚約とは、カップルが結婚を約束することを言います。婚約の段階では、2人の中で結婚の約束を交わすだけで、入籍や結婚には至っていない段階となります。
婚約は2人の中の約束で、手順や手続きなどに明確な決まりはありません。婚約・結婚・入籍の中で、唯一法律上の手続きが必要ないのが婚約です。
多くの場合では、「結婚してください」とプロポーズの言葉を伝えて了承が得られ、2人が結婚を約束したときに婚約が成立します。プロポーズして婚約する際には、婚約指輪やネックレスなどの婚約記念品を渡し、婚約の証とするカップルが多いです。
しかし、花束や手紙でプロポーズして結婚指輪のみを購入したり、特に婚約指輪や記念品は用意しなかったりと、カップルによってもさまざまです。婚約指輪がなくても、2人の間で結婚の約束をすれば、婚約が成立します。そのため、婚約の際に特別なプロポーズや婚約指輪がなかったカップルも少なくありません。
婚約から結婚までの期間にも特に決まりはなく、カップルそれぞれのタイミングで結婚を迎えます。婚約してから、結婚する時期や具体的な日付を相談して決めるカップルが多いでしょう。
結婚とは
結婚とは、婚姻と同じ意味を持ちます。結婚または婚姻をした場合は、新しい戸籍を作ることになります。
結婚・婚姻とは、今まで入っていた親の戸籍を抜けて新たに戸籍を作ることを意味するものです。結婚と入籍は同じだと思われがちなのですが、正確に言うと異なります。結婚や入籍と聞いて多くの方がイメージするのが、この結婚・婚姻でしょう。
戸籍の筆頭者となる人(夫の氏を名乗る場合は夫)に結婚経験がない場合は、新しい戸籍を作ることになります。そのため、初婚の場合では「結婚・婚姻」が正しい表現です。
初婚同士で「入籍しました」と報告する方がよく見られますが、厳密に言うと誤りです。会社の人や友人に報告する際は、「入籍」という言葉は使わずに結婚しましたと伝えるといいでしょう。
入籍とは
入籍とは、漢字の通りに「戸籍に入る」ことを意味します。「結婚・婚姻」と「入籍」との違いは、今までに存在する戸籍に入るのか、これから新しい戸籍を作るのか、というところにあります。
基本的に初婚同士の場合では、親の戸籍に入っています。この場合は入籍ではなく結婚・婚姻です。入籍に当てはまるのは、戸籍の筆頭者となる人(夫の氏を名乗る場合は夫)がすでに親の戸籍を抜けて新しい戸籍を作っている場合です。
戸籍の筆頭者となる人が再婚の場合、初婚の際にすでに親の戸籍を抜けて新しい戸籍を作っていることが考えられます。この場合では、配偶者となる人は「入籍」と表現するのが正しいということになります。
このような理由から、初婚同士の夫婦が「入籍しました」と報告することは誤りということになります。勘違いしている人が多いですが、結婚と入籍とは同じ意味を持つ言葉ではないのです。
手続きの方法
入籍には法的な手続きが必要ないと紹介しましたが、結婚・婚姻や入籍をする際には手続きが必要となります。ここでは、結婚や入籍の手続きの方法を紹介します。
結婚・入籍に関する手続きの方法や違いについて解説するので、参考にしてみてくださいね。
婚姻届と入籍届
結婚する際に提出する書類としては、婚姻届をイメージする方がほとんどなのではないでしょうか。実は、婚姻届のほかにも入籍届という書類が存在します。
婚姻届
結婚の際に提出する必要があるのは、イメージ通りに婚姻届です。婚姻届の正式名称は「婚姻届書」と言います。婚姻届は、法的に結婚・婚姻を認めてもらうために提出する書類のことです。
婚姻届を提出するためには、以下のような条件を満たしている必要があります。
- 男女ともに満18歳以上であること
- 男女ともに他の人と婚姻関係にないこと
- 男女が直系親族ではないこと
- 3親等内の傍系血族ではないこと(ただし血縁関係がなければ結婚可能)
現在の日本では、18歳以下の結婚や同性同士の結婚は認められていません。そのため、婚姻届を提出するためには18歳以上の男女のカップルであることが必須です。
さらに、離婚歴のある女性が再婚するために婚姻届を提出する場合は、基本的に離婚届提出から100日以上が経過している必要があります。
婚姻届提出の手続きは、役場で行います。婚姻届には、自分たちで記入する必要事項のほかに20歳以上の証人2人のサインが必要です。証人は、20歳以上であれば誰にでもお願いすることができます。お互いの親やお世話になった方、共通の友人などにお願いするカップルが多いです。
婚姻届を提出する際には、以下のものが必要となります。
- すべて記入した婚姻届
- 印鑑
- 本人確認書類
- 戸籍謄本または抄本(本籍地以外で婚姻届を提出する場合)
婚姻届の記入ミスや必要なものを忘れてしまうと、婚姻届が受理されなかったり手続きに時間がかかったりします。特に婚姻届を祝日や営業時間外に提出する方は、その場でミスを訂正することができません。
訂正できないミスがあると婚姻届が受理されず、2人で決めた日に結婚できないことになります。心配な方は事前に役所の人や第三者に確認してもらうなどして、慎重に準備しましょう。
必須ではありませんが、結婚指輪は婚姻届を提出し夫婦になった日からつけ始めたいと考えているカップルが多いようです。指輪は注文してから手元に届くまでに時間がかかることも多いので、余裕を持って購入するといいでしょう。
入籍届
入籍届は子連れで再婚する夫婦に必要な書類です。
親の離婚や養子縁組などによって別戸籍となっている子どもを、同じ戸籍に入れるために必要となります。
婚姻届だけでは子どもが再婚相手の戸籍に入ることはありません。子どもも同じ戸籍に入れたい場合は、入籍届も提出する必要があります。
子どもの名前も再婚相手の氏に変更して戸籍に入れるためには、「子の氏の変更許可」を申し立て、家庭裁判所の許可を得る必要があります。事前に家庭裁判所の許可を得て、「氏の変更許可の裁判書の謄本」を併せて入籍届の提出を行いましょう。
結婚(婚姻届の提出)と挙式
婚姻届の提出と挙式では、どちらを先に行うか、どちらが結婚記念日となるのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。婚姻届の提出と挙式では婚姻届提出を先に行うカップルが多いものの、どちらを先に行うべきという決まりは特にありません。
また、婚姻届の提出と挙式を両方とも同じ日に行うこともできます。結婚に関係する記念日を1つにまとめられることや、結婚の実感がわきやすいなどの理由から人気です。当日はハードスケジュールになりますが、計画的に準備を進めて動ける方はぜひ同日に行ってみてはいかがでしょうか。
婚姻届を提出すると、夫婦のうちどちらかは名字が変わることになります。それに伴って、免許証や銀行などさまざまな名義変更が必要です。婚姻届を提出してすぐに新婚旅行を予定している方は、変更手続きのタイミングに注意しましょう。
婚約から結婚までは結納や顔合わせ食事会、婚姻届の準備や指輪の購入などたくさんのやるべきことが重なり、多忙な時期でもあります。後から慌ててしまうことのないように、先の予定まで考えながら余裕を持って行動しましょう。
婚姻届提出と挙式を別日に行った場合、結婚記念日は2人の好きなほうをどちらでも選択することができます。2人で相談して好きなほうを選んで結婚記念日としましょう。
事実婚
ここまで紹介したように、婚姻届を提出して結婚するのは「法律婚」と呼ばれるものです。法律婚では、2人が夫婦関係であることが法律的に認められます。
一方で、法的な手続きを行わない「事実婚」を選択する人も増えています。事実婚では、法律婚とは違い同じ戸籍に入る手続きを行いません。事実婚を選択では法的な手続きを行わないため、一般的な結婚とは異なる部分も多いです。
事実婚は、結婚とも同棲とも違う状態のことを言います。婚姻届を提出する結婚とは違い、事実婚が認められるためには以下のような条件があります。
- 2人の間に結婚の意思がある
- 同一生計で同居している
- 住民票や社会保険においての手続き
結婚の意思があることは、親族への紹介(結婚の意思があることを伝える)や結婚式・結婚指輪など、本人たちだけではなく第三者にも伝わるように意思表示することで認められやすくなるでしょう。
2人に結婚の意思があっても、別居状態では事実婚と認められない可能性があります。同居期間に決まりはありませんが、3年程度継続して同居していると事実婚が認められやすいようです。
役所に事実婚を申し立てると、住民票に「妻・夫(未届)」と記載することができます。このような公的な資料において結婚の意思を示しておくことが、事実婚を認められるために有利な要素となります。
法律婚では、名前の変更にともなってさまざまな名義変更の手続きが発生します。しかし事実婚では、どちらもそのままの名前で過ごすのでこの手続きの面倒さを避けることも可能です。
ただし、法律的に夫婦と認められない事実婚では、法律婚で得られるメリットである扶養控除や配偶者控除などを受けることができないことになります。
さらにパートナーが入院や手術を受けることになった場合、法律婚では代理人手続きを行うことができます。しかし事実婚では夫婦関係を証明する必要があり、このような非常事態的な局面で面倒な手続きが必要となることも少なくありません。
同性婚が認められていない日本では、同性同士のカップルが事実婚を選択することも多いです。また、日本ではまだ夫婦別姓も認められていません。結婚を機に名前が変わることに抵抗があるカップルも事実婚を選択することが多いようです。
法律婚と事実婚は、どちらにもメリットとデメリットがあります。2人で相談し、メリットの大きいほうを選択するといいでしょう。
まとめ
「婚約・結婚・入籍」は、混同されて使われていることの多い言葉です。それぞれは違う意味を持っているので、会社の人や友人などに報告する際は正しい言葉を使うように意識しましょう。
それぞれ必要な手続きや法律婚と事実婚の違いについても解説しました。メリットとデメリットを確認して、自分たちに合った選択をしましょう。今回の記事が、結婚について悩んでいる方の参考となれば幸いです。